業務標準化の目的と効率的な適用範囲・改訂のタイミングとは

(2025/2/8 更新しました)
あなたのビジネスでは、業務の標準化していますか?
「とりあえず回っているので、必要性を感じない」
「作業時間に当てる時間が取れない」
「作っても 改訂が面倒」
確かに 今だけを考えれば、こうした意見もあると思います。
でも、ビジネスって 今だけ良ければ ではないですよね。
常に、進化することが必要です。
とは言っても、全部の業務に適用するの?
確かに、効率的・効果的に行いたいと思います。
今回は、「標準化の意義と効率的・効果的に実施するための業務の適用範囲・改訂のタイミング」について 私なりの考えを紹介したいと思います。
私自身、大会社の標準化委員をしていたこともあります。
その経験に基づいています。
目次
標準化の意義とは
組織って、業務プロセスの集まりです。
それぞれのプロセスは、過去から積み上げてきたものです。
でも、人って 工夫する生き物なんですよね。
時間が経つと、人によって やり方が異なってきます。
徐々に、暗黙知も 増えていきます。
また、環境が変化することで 組織間で抜けているところも いずれ顕在化します。
やがて、個々の業務が見えなくなります。
こういう状況になると マネジメントにまで影響しますよね。
今回は、標準化の3つの意義について紹介したいと思います。
- 誰でも 同じ品質で効率的に業務ができるようになる
- 組織内で 相互依存関係が共有される
- 次の業務改善・業務改革につながる
以下に順番に紹介しますが、重要度は順番に大きくなっています。
誰でも 同じ品質で効率的に業務ができるようになる
標準化のドキュメントには、業務の実施方法が書いてあります。
読むことにより、いつ・どんなことをするのかがわかります。
後は、適宜周りに聞くことにより 業務を回すことができます。
そして、確保すべき品質も担保されます。
一般的な標準化の意義・目的です。
組織内で相互依存関係が共有される
業務は、ひとりでは廻りません。
常に前後工程と関係しています。
標準化のドキュメントで、相互依存関係が共有されます。
困った時の相談先も わかります。
業務分担表と合わせれば、相談相手もわかりますよね。
それと、組織の中の自分自身の業務の位置付けもわかります。
自分自身の組織内での役割を知ることは、モチベーションに影響します。
ほとんどの人は、組織の役に立ちたいと思っているものです。
改善意欲・改革意欲を生み出します。
次の業務改善・業務改革につながる
標準化は、作成した時点で 最新のものです。
明日になれば、もう最新ではありません。
実際に業務を行っていれば、効率化のアイデアも出てきます。
また、環境の変化があれば 当然業務も変わります。
いわゆる改善・改革が発生します。
標準化の1番の意義は、次の業務改善・業務改革を起こすことです。
改善・改革は、ベースラインを変えることですよね。
ベースライン=標準化です。
また、今まで行ってきた改善・暗黙知を 一旦 見える化することでもあります。
作成した時点で、最も効率の良い業務プロセスです。
そして、ベースラインがあれば 組織の状態もわかります。
例えば、5年も同じ業務プロセスを実施していれば 明らかに異常ですよね。
改善が常に起こっている組織って、マネジメントの重要な要素だと思います。
効率的・効果的に実施するための適用範囲の考え方
とはいっても、全ての業務を標準化するのは 時間・コストがかかりますよね。
場合によれば、改善・改革効果以上に コストがかかるかもしれません。
上記に示した「標準化の3つの意義」を踏まえて、適用する範囲を決めます。
意義で紹介した3つのポイントを最低限網羅するのは、基幹系業務です。
最低限、各組織の基幹系業務は標準化すべきです。
基幹系業務というのは、各組織の機能単位で成り立っている業務です。
つまり、各組織の最終成果物に直結するものです。
各機能単位が どうつながりどうやって成果物を出しているのかが わかるものです。
そして、各機能単位は ほぼ組織のメンバーが担当しています。
これであれば、成果物の品質が確保でき・自分自身の位置付けもわかります。
また、業務改善・業務改革の多くは この基幹系業務に関わっています。
さらに余力があれば 各組織の主業務について 標準化します。
基幹系業務のひとつ下の階層の業務フローに当たります。
改訂のタイミング
個々の業務改善毎に改定していたのでは、時間・コストがかかります。
適切なタイミングとして、以下3つ紹介します。
- 個々の業務ではなく、前後工程含めた改善・改革があった場合
- 法律改定やトラブルが発生し、織り込むことが必要な場合
- 定期的な改訂
個々の業務ではなく、前後工程含めた改善・改革があった場合
個々の業務の方が、暗黙知溜まっていきます。
とはいえ、小改善の都度行うことは ひとりの担当者だけに負荷を与えることになります。
前後工程を含めた括りになる業務単位で改善・改革があった時が、良いタイミングだと思います。
複数人で実施ができ、負荷分散できます。
また、この単位であれば、費用対効果あるはずです。
例えば、企画業務のやり方が変わったという単位です。
法律改定やトラブルが発生し、織り込むことが必要な場合
経営にインパクトを与えます。
絶対に改定しなければならないタイミングです。
定期的な改訂
定期的な見直し期間を定め、時期がきたら そのまま継続か改訂かを判断することです。
必要であれば、改訂します。
必ず 見直し時期がきたら 判断が発生しますので、鮮度は確保されます。
ただ、この方法は、改訂を管理する間接業務が発生します。
大きな会社でないと難しいと思いますが、システム化という手もあります。
とはいえ、5年も同じ業務が続くということは いまや あり得ないと思います。
5年をスパンとして考えることもありだと思います。
まとめ
業務の標準化は、役割・分担、プロセス・手順を 見える化します。
今回は、「標準化の意義と効率的・効果的にするための業務の適用範囲・改訂のタイミング」について 私なりの考えを紹介しました。
標準化の意義・目的
標準化の3つの意義について紹介しました。
- 誰でも同じ品質で 業務ができるようになる
- 組織内で相互依存関係が共有される
- 次の業務改善・業務改革につながる
業務改革を促すための適用範囲
3つの意義を踏まえて、適用する範囲を決めます。
最低限、各組織の基幹系業務は標準化すべきです。
改訂のタイミング
- 個々の業務ではなく、前後工程含めた改善・改革があった場合
- 法律改定やトラブルが発生し、織り込むことが必要な場合
- 定期的な改訂
標準化の1番の意義は、次の改善・改革を起こすことです。
また、今まで行ってきた改善・暗黙知を、一旦 見える化することでもあります。
そして、皆と共有し 次の改善のベースラインにします。
改善・改革が常に起こっている組織 マネジメントの重要な要素だと思います。
さて、今回は 業務標準化を効率的・効果的にするための方法について紹介しました。
方法も大切ですが、「業務標準をいかに作成するか」も重要です。
以下の記事では「業務標準のわかりやすい作成方法」について記載していますので、こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
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