システム化プロジェクト:説得力を向上させる効果予測の算出方法とは
(2022/4/1 更新しました)
システム開発・導入の前に、決裁を受けると思います。
決裁資料に費用対効果記載しますよね。
工数低減・工数削減を メインで記載していませんか?
工数低減で、決裁資料として説得力・インパクトあるでしょうか?
そして、本当に今回実施する効果でしょうか?
今回は、システム化プロジェクトの決裁資料に記載する場合の「説得力を向上させる効果予測の立て方」について、私なりの考えを紹介したいと思います。
システム化の効果は工数低減?
システム化の効果として、よく使われるのは 工数低減です。
人の作業をシステムに置き換えると考えるので、こういう発想になるのだと思います。
でも、本当に そうでしょうか?
笑い話のような話しをします。
私が在籍していたような大会社でも、システム化の効果を工数低減にしていた時期があります。
20年も経てば 社員ゼロになるような累積計算になっていました。
でも、社員 今も普通にいますよね。
つまり、システム化は 人の作業の置き換えではないのです。
確かに、物流システムとして ロボットを利用したシステムを組めば 人は減ります。
ただ、これはシステムではなく ロボットと人の交換です。
そもそも、システム開発・導入する目的は なんらかの問題があったからです。
新たな法規制に対応するため、人員を当てる必要がある。
そのための人員がいない。
そのために、既存人員から工数確保しなければならない。
新たなビジョン・戦略から、やらなければいけないことがある。
そのための人員がいない。
そのために、既存人員から工数確保しなければならない。
こういう目的の方が 多くありませんか?
確かに 最後の「既存人員から工数確保」だけ見れば、工数削減かもしれません。
でも、本来の目的は 違いますよね。
別途投稿しますが、私自身は システム化の効果は 効率でなく 価値向上だと考えています。
プロジェクトの本来の目的も 価値の向上ではないでしょうか?
工数低減を費用対効果で考えると
システム開発・導入の費用回収期間、組織によってある程度決まっていると思います。
2年回収ぐらいが普通でしょうか。
1億円の投資の場合、1年で0.5億の効果必要です。
労務費5,000/Hrとすると、年間10,000時間の効果です。
50人の社員がいれば、ひとり200時間です。
よほどの社員がいる大会社でない限り、工数低減で効果をあげるのは無理です。
低減工数を、チマチマ積み上げるのは 得策とは思えません。
また、激動のビジネス環境です。
今どき 工数低減が目的では、説得力に欠けますよね。
変化を訴求する必要あります。
効果予測の立て方
プロジェクトの本来の目的から、効果を算出します。
先ほどの例でいえば、「新たな法規制に対応するため」「新たなビジョン・戦略のため」です。
そして、3つの視点から 効果を見積もります。
- 新たな脅威・機会そのものの効果
- 目的を実現するために必要な工数・コスト
- 現行業務を低減する工数・コスト
以下 順番に紹介します。
新たな脅威・機会そのものの効果
そもそものシステム開発・導入の目的です。
この目的を達成するために、システム開発・導入するのですよね。
システム開発・導入の構想ストーリーは、起案前のプロジェクト構想で 既に出来上がっていると思います。
ストーリーから 効果算出します。
例えば、新たな法規制。
問題が発生すれば多大な被害を受けます。
いわゆるリスク評価です。
被る被害*発生する確率です。
また、新たなビジョン・戦略の場合 実際に戦術を実行した場合の効果です。
どれぐらいの利益が見込まれるでしょうか。
戦術は、複数あるのかもしれません。
その中の一番有望と考えられるもので 算出します。
但し、夢物語のような数字では 説得力ないですよね。
論理的に正しいと思われる数字を 使うことです。
新たなことを実施します。
当然どうなるのかはわかりません。
それでも、目標はあるはずです。
構想ストーリーに説得力があれば、目標は 論理的に説明できると思います。
そして、今回のシステム開発・導入の1番の目的です。
決裁では、メインに訴求しましょう。
目的を実現するために必要な工数
新たな脅威・機会に立ち向かうための工数を見積もります。
新たな法規制であれば、絶対に対応しないといけません。
今やるとしたら、どれぐらいの工数になるでしょうか?
なんの用意もなければ、ほとんど手作業です。
多くの工数が必要だと思います。
それを算出しましょう。
新たなビジョン・戦略の場合、戦術にどの程度の工数が必要でしょうか?
戦術は、アジャイルで行うことと思います。
いきなり全工数を当てることはないでしょう。
仮説検証に必要な工数を 算出します。
そして、これら工数は 工数増加の抑止効果として訴求することになります。
なんらツールがない状況で実施すれば、これだけの工数がかかる。
それを、○○程度の工数増ぐらいに抑えたい。
訴求のポイントです。
現行業務を低減する工数・コスト
最後に、適用する範囲の現行業務の低減効果を算出します。
いわゆる効率化の部分です。
基本は、積み上げで算出すれば十分だと思います。
尚、算出の根拠は、残しておく必要があります。
最終的には、プロジェクトの評価の際に利用します。
まとめ
システム開発・導入の前に、決裁を受けると思います。
決裁資料に費用対効果記載しますよね。
今回は、システム化プロジェクトの決裁資料に記載する場合の「説得力を向上させる効果予測の立て方」について、私なりの考えを紹介しました。
そもそも、システム開発・導入する目的は なんらかの問題があったからです。
「新たな法規制に対応するため」「新たなビジョン・戦略のため」 目的があるはずです。
プロジェクトの本来の目的から、効果を算出します
そして、3つの視点から効果を見積もります。
①新たな脅威・機会そのものの効果
そもそものシステム開発・導入の目的から算出します。
新たな法規制であれば、リスク評価です。
新たなビジョン・戦略の場合であれば、実際に戦術を実行した場合の効果です。
そして、今回のシステム開発・導入の1番の目的です。
決裁では、メインに訴求しましょう。
②目的を実施するために必要な工数
新たな脅威・機会に立ち向かうための工数を見積もります。
新たな法規制であれば、今やるとしたら どれぐらいの工数になるか。
新たなビジョン・戦略の場合、戦術に どの程度の工数が必要か。
なんらツールがない状況で実施すれば、これだけの工数がかかる。
それを、○○程度の工数増ぐらいに抑えたい。
工数増加の抑止効果として訴求します。
③現行業務を低減する工数・コスト
最後に、適用する範囲の現行業務の低減効果を算出します。
基本は、積み上げで算出すれば十分だと思います。
決裁用のシステム構想資料には、算出した3つ効果を記載します。
今回定性効果については記載しませんでしたが、資料の中では 織り込みます。
そして、目的と効果を訴求するストーリーで 資料を作成しましょう。
説得力、随分変わると思います。
今回システム開発・導入に関して紹介しましたが、全ての決裁資料でも同じことだと思います。
決裁は、今後のビジネスの方向を決める重要な場です。
決裁する側・決裁される側が、同じ土台で議論することが 大切だと思います。
目的・実施事項・効果(目標)があって初めて 共通の土台ができると思います。